地域研修を終えて(令和7年10月)

  この度は町立別海病院での貴重な地域研修の機会をいただき、誠にありがとうございました。4週間の研修を通して多くのことを学ぶことができました。
 まず、内科では西村先生の内科外来をはじめ内視鏡検査、腹部エコー、頸部エコー、病棟管理、介護認定審査会議、オンラインでの訪問診療などを学ばせていただきました。外来では、糖尿病、高血圧、脂質異常症といった生活習慣病をベースに、痛風や偽痛風、膀胱炎や尿路感染、喘息発作、肺炎、急性胃腸炎など頻度の高いcommon diseaseから、リウマチやシェーグレン症候群などの膠原病疾患やMDS、マクログロブリン血症などの血液疾患、経過観察中の大動脈瘤や弁膜症などの循環器疾患といった専門性の高い疾患まで非常に幅広い疾患に出会い、それらを複数合併している患者さんがほとんどであり、専門分野が細かく別れている大学病院とは違い、内科全般の疾患を包括的に幅広く治療していることに難しさと面白さを感じました。
 
 また、発熱外来、救急外来を対応させていただく機会を多くいただき大変貴重な勉強をさせていただきました。発熱外来では、いわゆるごく普通の「風邪」をファーストタッチから薬の処方、帰宅の判断まで指導医の先生のご指導のもと一人で診察をしました。風邪症状の訴えの中に、肺炎まで引き起こしている可能性や細菌性感染の可能性はないか、対療法で改善する見込みがあるのかなど、なんでもない風邪の診察、治療の難しさを実感しました。救急外来では、ファーストタッチをさせていただく機会を多くいただき、問診、症状に応じた必要な検査の判断、結果の評価の経験を通して、様々な疾患に出会いました。一般的な胃腸炎から、時には絞扼性イレウスで転院搬送や、腸管穿孔でドクターヘリでの搬送となった症例まで幅広い症例に対して地域ならではの対応を学ぶことができました。
 特に当直中の救急外来では、血液検査や画像検査をするのに院外で待機している技師さんを呼び出す必要があるなど、地域病院ならではの環境を経験できました。普段、大学病院での当直は、夜間でも血液検査、CT検査は当たり前のように行っているので、それとは全く異なった状況で限られた環境の中で画像検査が緊急を要するのか、その必要性を判断し、本当に必要な検査だけを見極め限られた情報の中で夜間の対応を判断するということに大変難しさと、地域医療の実際を体感することができました。発熱外来、救急外来ともに現場に上級医がいない状況の中、一人で診察にあたるのは初めてだったので、常に緊張していましたが、自分一人で診ているという緊張感のある中で診察を進めていくという大変貴重な経験をさせていただきました。
 外科では、臍ヘルニアや整形の肩関節の手術を中心に、挿管から手術の助手、手術後の抜管まで多くの経験をさせていただきました。麻酔科医がおらず、スタッフも限られている状況の中で、連携がしっかりと取られていてスムーズにオペが進んでいるのを見てこちらもまた普段大学で見ているオペ室の様子とは違い、地域病院ならではの環境を学ぶことができました。
 西村先生をはじめ、横澤先生、山田先生、そして外来、病棟の看護師の皆様、スタッフの皆様、4週間大変お世話になりました。大変あたたかく迎え入れてくださり、とても楽しく充実した研修で、地域に根付いた地域医療を、身をもって体験し、多くを学ぶことができました。そして病院の方々だけでなく患者さんもみな穏やかで優しく、別海町が大好きになりした。また別海町の医療に携われることがあれば大変嬉しいです。本当にありがとうございました。